世界における規模が大きい地震と発生環境の検証
07/ 11/15 |
●UTC世界時:11/14;15:40、日本時間11/15;0:40 チリ北部アントファガスタ県:M7.7;深さ60km 震源はチリの首都サンチャゴから1245km北。詳細な地図。こちら。 ●UTC世界時:11/15;15:03、日本時間11/16;0:03 チリ北部アントファガスタ県:M6.1;深さ27km 震源はチリの首都サンチャゴから1185km北;11/14M7.7震源より60km南 ●UTC世界時:11/14;15:05、日本時間11/16;0:05 チリ北部アントファガスタ県:M6.8;深さ26km 震源はチリの首都サンチャゴから1170km北;11/14M7.7震源より75km南 アントファガスタ県トコピジャ(Tocopilla)では、崩れた民家の下敷きにより2人が死亡、負傷者115人が報告された。トコピジャでは数百人の住民がいまも余震におびえながら屋外で夜を過ごしている。Luis Moncayo市長によると、1200棟が全壊し、4000棟が被害を受けた。 アントファガスタ市内などで100人以上が負傷し、同市の約1800世帯の大部分が被災し、送電や電話回線も不通となった。 図07/11/15_1はUTC11/14の本震と余震の震源マップです。 M4以上の余震は11/14では、5回。 図07/11/15_1更新(UTC11/16までの震源マップ) 図07/11/15_2は2007年1/1以降の、地震活動マップです。プレートの沈み込み帯の大陸側でM4-5規模の地震活動が本年に入ってずっと続いていました。 緑の震源深さ70-150kmの地震活動帯の外側で、黄色の震源深さ35-70kmの地震活動帯で発生した。 図07/11/15_4は11/12以降の3日間の太陽風磁場の衛星観測図です。 図のスタートが11/12、真ん中の白丸が11/14、次の白丸が11/15の0時です。 三番目の太陽風密度(橙色)が11/12から上昇、11/13には一番上の磁場強度(白線)が 10nTを超え、一番下の太陽風速度(黄色)が著しく上昇。 11/14の太陽風速度が上がりきった時点(白丸)で、本地震発生。 典型的な「磁気圏圧縮と地磁気擾乱」がトリガーになり、地震発生となった。 |
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図07/11/15_1 UTC ;11/14 本震;15:40;M7.7 余震;17:18;M5.0 余震;17:18;M5.3 余震;17:53;M4.9 余震;17:56;M4.6 余震;19:17;M4.8 UTC;11/15 本震;15:03;M6.1 本震;15:05;M6.8 余震;15:15;M5.6 余震;15:45;M4.8 余震;17:53;M4.9 余震;21:05;M4.8 余震;21:12;M4.9 UTC ;11/16 余震;08:42;M5.4 余震;14:34;M5.0 余震;17:05;M4.7 余震;19:07;M4.5 |
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図07/11/15_2 2007年1/1以降の地震活動マップです。 地震の大きさは 図07/11/15_3の左で示したように円の大きさで表します。 地震の深さは 図07/11/15_3の右で示したように色で表します。 紫線はナスカプレートが南アメリカプレートに沈み込む一帯であることを示す。 |
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図07/11/15_3 | ||
図07/11/15_4 |
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07/ 11/14 |
2007/1/1から2007/11/12までのインドネシアスマトラ島南部の震源マップ。 北緯2度から南緯6度、東経96度から 104度の区域内でM4-M8クラスの激しい地震活動が認められる。 M7以上の激しい地震活動を示す区域: 南緯2度から5度 東経99度から102度 日本で言うと、東海と東南海地震想定震源区域を合わせた広さに匹敵する |
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07/ 9/13 9/14 補足 11/13 補足 |
●UT9/12 11:10(日本時9/12 20:10)。スマトラ南部(4.512°S, 101.382°E)。 震源の深さ30km。地震の規模 M 8.4。スマトラ島南西部ブンクル沖のインド洋 ●UT9/12 23:49(日本時9/13 8:49)。インドネシアメンタワイ諸島(2.506°S, 100.906°E)。震源の深さ30km。地震の規模 M 7.9 ●UT9/20 8:31(日本時9/20 17:31)インドネシアメンタワイ諸島(2.025°S, 100.136°E)。震源の深さ30km。地震の規模 M 6.7 ●UT10/24 21:02(日本時10/25 6:02)インドネシアメンタワイ諸島(3.838°S, 100.909°E)。震源の深さ30km。地震の規模 M 6.8 政府集計で、地震によりブンクル州と西スマトラ州パダンで、死者は25人、負傷者88人にのぼり、800棟近い全壊を含め、6000棟の建物が壊れた。大規模な余震が続くため、多くの市民は津波などを恐れ、依然高台などに避難した。 スマトラでは、3年前に16万人を超える犠牲者を出す大地震・津波が起きている。 上図左は震源マップです。2回の巨大地震前後に、M5-M7規模の激しい地震活動が続いています。M6-M7の余震発生回数:4回、M5-M6の余震発生回数:35回(9/14:20時現在) 上図右は2007年以降の震源マップです。近郊にM4-M5の地震が本年以降発生していました。 中図は震源の深さ0-70kmの範囲内で1年間にM5以上が発生しているかを示す頻度分布です。濃い青は1年間に1回程度、M5以上の地震が発生している地域で、本震源もその範囲内です。沖合いの紫の線はプレートの沈む込む一帯であることを示しています。緑の線は横ずれ断層帯を示しています。 日本の関東地方の南岸のプレート境界面も横ずれ断層帯になっています。日本の過去の連動型南海地震と東南海地震も、こんな発生をしていたようです。 最下段の図はUT9/7-9/13の太陽風磁場の衛星観測結果です。 まず、この太陽風磁場の元になる太陽は最も活動的な領域で、7/16の新潟中越沖地震、8/16ペルー沖地震、9/12の今回の地震と同じ太陽領域です。8/16から9/12までの期間は27日間、太陽の自転周期と一致します。 最も特徴的なことは、高速太陽風速度低下過程で発生したということです。9/7以前の「地磁気攪乱」は非常に激しく、地球に大量の磁気エネルギーが流れ込みました。これが遠因だと推定します。 次に太陽風密度(上から3番目、オレンジ)がペルー沖地震以降1ヶ月間、ほとんど2-30(中央値5proton)と高く、常に地磁気に圧力をかけていました。平常値は1protonです。 異常事態が続いています。 もうひとつの特徴は2番目のグラフ。磁場のphi成分。9/7-9/10および9/12に0−360度の範囲を乱高下しています。太陽に黒点が形成され、成長しているときによく見られる現象です。太陽の磁場構造が大きく変化しています。 |
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2007/ 08/16 |
UT8/15 23:40(日本時8/16 8:40)。ペルー沖地震(13.358°S, 76.522°W)。詳細な地図はこちら。震源の深さ30.2km。地震の規模 M8.0。 首都リマから110km南。近郊に1900年以降で世界で5番目に大きい地震が発生したエクアドル沖合がある。 20世紀以降のベスト5のこの地震は、1906年1月31日にM8.8。なお、20世紀以降世界最大の地震は、同じく南米のチリで、1960年5月22日に起きたM9.5の地震である。現時刻でまだ、激しい地震活動は続行中である。死亡者450人以上、負傷者1500人以上。 上図左は震源マップです。沖合いすぐ近くで、本震発生後もM5-M6規模の激しい地震活動が続いています。 上図右は震源の深さ0-70kmの範囲内で1年間にM5以上が発生しているかを示す頻度分布です。濃い青は1年間に1回程度、M5以上の地震が発生している地域で、本震源もその範囲内です。沖合いの紫の線はナスカプレートが南アメリカプレートに沈む込む一帯であることを示しています。 下図左は1900年以降の震源マップです。緑、黄色、赤は地震の震源の深さがそれぞれ70-150km、35-70km、0-35kmです。本日朝の地震は30.2kmですので、黄色表示になります。プレートが沈みこんだ大陸側でほとんどの地震は発生しています。 下図右は2007年以降の震源マップです。近郊にM4-M5の地震が本年以降発生していました。 次に、地震発生時の太陽環境をみてみましょう。 最下段の図はUT8/10-8/16の太陽風磁場の衛星観測結果です。 最も特徴的なことは、この6日間に「磁気圏圧縮と地磁気攪乱」が2回起こったということです。1回目は8/10から8/11に、2回目は8/15に起こっています。 現時刻は通常の太陽活動であれば、3番目の図の太陽風密度(density)が1未満になります。ところが、現在の太陽は非常に不安定で、多くのコロナホール(太陽磁場が外側に開いている場所)ができて、密度が下がりません。この状態は8/14以降、顕著です。 もうひとつの特徴は2番目のグラフ。磁場のphi成分。8/15以降0−360度の範囲を乱高下しています。太陽に黒点が形成され、成長しているときによく見られる現象です。太陽の磁場構造が大きく変化しています。 8/16の宇宙天気ニュースコメントの抜粋。「今周期は、セクターの切り替わりとともに、磁場強度が乱れたり、速度が上がったりと、太陽風に乱れが始まりました。太陽の様子が、変化しているのでしょう。」また、南米大陸南部には、地震発生時には1040Hpaにまで発達した高気圧が張り出していました。 ロシア国立水理気象大学水文学部地震予知科学研究室の地震予知の大家ヴィクトル・ボコフ博士は「太陽の磁場構造の変化と高気圧の発達が同時に見られるときにM4以上の地震が発生する」と報告しています。今回のペルー沖の地震は、顕著な太陽磁場構造変化が見られ、同時に近接する一帯に1040Hpaまで発達した高気圧があったときに巨大地震が発生しました。 |